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海外写真集・旅行記OVERSEAS TRIP





海外写真集南アジア >ブータン

ブータン (Bhutan)


2016年8月,ブータンに初上陸。くしくも日本とブータンが国交を樹立して30周年の記念すべき年であった。

ブータン旅行は基本的に個人旅行は不可能(2016年時点)。国が指定する業者に渡航を依頼し,ガイド,車,食事,ホテルが込みになった公定料金を支払い,入国が許可される。

ブータンは,長い間鎖国政策をとり,外国の文化に触れることなく近代史を歩んだため,先進国が過去に置き忘れてきた昔の良いところが色濃く残っている。そういう意味から,国民の多くは今が幸せであると感じており,世界一幸せな国と呼ばれている。

仏教を国教とするブータンでは,政治と仏教を切り離して語ることが出来ない。国の機関や地方の行政機関の建物の中には必ずお寺がある。ちなみに,日本と同じ大乗仏教である。
 

【ブータンに行って驚いたこと】
・殺生をしないため肉や魚介類は全てインドから輸入(他人により処理された肉は食べる)。
・ブータンは牛肉を食す。牛肉もインドから輸入する(インド人は牛肉を食べないが屠殺する)。
・外貨獲得はツーリズムと売電(水力発電)でほぼ全て。
・インドから経済援助を受けているが,ブータンの1人当たり国民所得は援助国のインドより高い。
・顔立ちが日本人と同じ。私は外国人旅行者に何度もブータン人に間違えられた。
・旅行収入に注力するが,仏教に造詣が無い旅行者は観光自体が無理で候補者(国)が限られている。


(2016年9月記)

首都ティンプー (Thimphu)

ブータンの首都ティンプーは人口10万人弱。標高は2,300メートル。この国の政治,経済,文化の中心である。山の谷間のわずかな平地に国の機関,居住地域,歴史的建造物等が密集する。市内観光スポットは市内に集中しており,政治・宗教の中心である「タシチョ・ゾン」,古刹「チャンガンカ・ラカン」,白亜の仏塔「メモリアル チョルテン」等がある。半日あれば市内観光は終了する。 
ティンプー市内(その1)
ブータンの首都ティンプーの標高は,2,300メートル。平地に建物が密集するが,規定により5階以上の建物の建築が禁止されており,圧迫感はない。古刹チャンガンカ・ラカン(Changangkha Lhakhang)から撮影。
ティンプー市内(その2)
巨大仏像(市内南側)から撮影のティンプー市内の様子。遠景では平地に見えるが,実際街を歩くと,坂と階段が多く,平地はほぼ皆無である。見てお分かりの通り,この街(谷間)には空港は建設できない(山が迫りすぎ)。
 
時計台と広場(Clock Tower Square)
この辺りがティンプーの中心地。時を刻む時計と市民が憩う広場がある。この周辺には,ホテルや市民のためのお店が並ぶ。ブータンの建築は,商業施設,民家を問わず,全て伝統のデザイン(ペイント)を施すことが定められている(高さは5階まで)。
 
広場全景
夕方になると,子供たちがこの広場でサッカーをしていた。そう,この国では平らな土地は貴重である。広場を外れると前述のとおり階段。おかげで高いカメラアングルから広場を撮影できる。写真奥に向かって下り坂。下りきると川,すぐ向こうには山。
 
ブータンの政治の中心地区
ティンプーの中心から北側は王宮,政治,行政をつかさどる建造物がある。写真中心の大きな建造物は,タシチョ・ゾン(Tashichho Dzong)。ブータンの政治,宗教の中心を担う建造物。執務が終了する17時以降に見学可能となる。ちなみに,「ゾン=城」の意味である。
タシチョ・ゾン(Tashichho Dzong)
タシチョ・ゾンは13世紀にこの国を守るために建てられたお城(砦)が,その後幾度もの改装を経て,現在のかたちになった。ブータンで最も重要な建造物のひとつ。釘を使わずに木材を組み合わせて造ってある。ブータンの国教は仏教。当然,内部には由緒正しきお寺がある。
 
タシチョ・ゾン(その2)
この国では5階建て以上の建造物の建設が禁止されている。高層建造物は危険である等の説明はあるが,信じ難い。公式には言わないが,歴史的重要なこの建造物より高い建物を否定しているということであろう(私見)。
国会議事堂
タシチョ・ゾンから川を隔てて向こう側に国会議事堂も見える。こちらも伝統の建築様式。この近くに国王の住居である王宮も存在する。この周辺は警備が半端なくすごかった。
 
メモリアル・チョルテン(National Memorial Choeten)
国王の立案で1974に建造された。歴史的な建造物ではないが,多くの市民の参拝の場,また,憩いの場となっている。特にお年寄りが話し相手を求めてこの場に集まる様子が印象的であった。
 
古刹 チャンガンカ・ラカン(Changankha Lhakhang)
15世紀に建てられたとされる古刹。ティンプーの街を見下ろす高台に建っている。このお寺は子供が生まれたら参拝することで有名であるらしい。
市内に横たわる犬
この街も(タイのチェンマイ同様)野良犬が多く,歩道,車道問わず人や車の往来を妨げながら我が物顔で寝ている。狂犬病の予防接種を全頭受けていると説明されるが恐ろしい。
 
タンゴ僧院への道
ティンプーの北にタンゴ僧院(仏教大学)がある。
1時間弱の道のりであるが,この山歩きは,この後に控えるタクツァン僧院登山の良いリハーサルである。
タンゴ僧院
中庭を囲む回廊が仏教大学の教室になっている。本堂の内部は撮影禁止。本堂内に木魚が置いてあったことに日本の仏教とのつながりを発見した。
 
巨大仏像
ティンプー郊外の山の上に巨大な金色の仏像がある(2016年現在建設中)。高さ50メートルで世界最大級であるらしいが,建設中につきこれ以上の詳細な情報は分からない。
ターキン放牧場 (Motithang Takin Preserve)
ブータンの国獣であるターキン。牛に似ているがそうではない。ブータンのほか,チベット自治区から四川省,ミャンマー北部等の山岳地帯に生息する草食動物。

パロ (Paro)

パロ市は首都ティンプーの西となりに位置し,人口数千人のこぢんまりした街。標高は2,200メートル。ブータンの玄関口,国際空港がある。観光スポットは郊外のタクツァン僧院が鉄板観光地(ブータンに来たらここは外せない)である。街歩きは,1時間もあれば充分である。
パロ市内(その1)
パロは首都ティンプーと比べると小規模な街である。こう見ると,さすがは空港のある盆地,なんとなく他の場所に比べて平地が多い気がする。ガンテ・パレスから撮影。
パロ市内(その2)
写真奥は方角で言うと北,標高4,000メートルまでの山々。更に奥にヒマラヤ山脈がある。ちなみに,ブータン最高峰は,ガンカー・プンスム(Gangkhar Puensum)。標高は海抜7,570メートル。未踏峰の世界最高峰。
 
パロの街並み
パロの中心街の様子。目抜き通りには,お土産物屋やスーパーマーケットが並び,1本奥の通りに土地の人が通う店が並ぶ。
ホテル ガンテ・パレス
その昔この地を収めた領主のお城を改装したホテル。小高い丘に建ち,パロの街を見渡している。。
 
棚田
パロ郊外の棚田。稲作文化圏では,山岳地域に行くと共通に存在する棚田であるが,平地の少ないブータンでは水田のほとんどが棚田である。他方,水が無いところでは唐辛子を育てる。
パロ・ゾン
パロ県の県庁。過去にはこの土地にリンプン・ゾン (Rinpung Dzong)と呼ばれる要塞があり,この土地を守ったが,20世紀初頭に消失。その後,再建された。

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タクツァン僧院(Taktsang Monastery

タクツァン登山はブータン観光のハイライト。ブータンに来た人ほぼ100%がこのお寺を目指す。
タクツァンとは,トラの巣を意味し,絶壁に張り付くように建てられた寺院。仏教の修行をする目的で建てられたため,生半可な気持ちでは到達できないような場所にある。標高が3,100メートルあり,標高差800メートルの登山となる。酸素が薄いため思ったよりキツい。
タクツァン僧院は1692年に建造された。1998年に失火により全焼し,その後,6年の歳月をかけて再建された。
他方,標高3,000メートルを超えているのに,常緑広葉樹が生えている。この緯度での森林限界は4,000を軽く超えることに驚く。
タクツァン僧院(その1)
ここから登る。ここの標高2,300メートル。写真中央の崖にタクツァン僧院(3,100メートル)があるが,遠くてよく見えない。
タクツァン僧院(その2)
2時間ほど登るとカフェテリアに到着する。食事,飲み物等がある。このカフェの少し下まで馬で登る選択肢もある。
 
タクツァン僧院(その3)
カフェ(第1展望台)からの眺め。標高的には,ほぼ8割やっつけたと思われるが,最終的に難関ポイントがある。
タクツァン僧院(その4)
第2展望台からの眺め。手を伸ばせば届くまで到達。ここの標高は最終目的地より少々高い。何と,ここから平たんな道のりでない。
 
タクツァン僧院(その5)
第2展望台から急な階段を下りる。当然ながら,下りたら再び登らなければならない。写真は下り階段を反対側から撮影したもの。
タクツァン僧院(その6)
下りきったところに滝つぼがあり,真上に滝が見える。滝の水は雪解け水でかなり冷たい。
 
タクツァン僧院(その7)
滝つぼに渡された橋を渡ると,最終ステージの登り階段が待っている。最後の力を出して最終アタック。最後は目標点がハッキリしているので疲労感は消えるものである。
タクツァン僧院(その8)
無事到着。ここからは撮影禁止のため写真ここまで。これよりカメラ等を預けて入場となります。帰り道は転がるように下りますので登りほどの苦労は要りません。

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ブータン番外編

番外編として,雑多なブータン情報を取りまとめました。
ドゥルック航空のエアバスA319
小回りの利くこの機材(A319)がパロ空港を離発着する(その他,プロペラ機もあり)。国外の航空会社の乗り入れは無い。テクニック的に無理であるという情報もある。
 
パロ空港の滑走路と山々
滑走路のどちら向きも離着陸が可能である。搭乗した感じでは,離陸より着陸が難しいと感じた。山を右に左に避けながら,完全有視界飛行でのマニュアルアプローチとなる。
 
川の流れ
ブータンの川は一気に標高を駆け下りるため急な流れである。ゆったりと流れる川は標高の高い地域には無い。写真奥にタチョ・ラカン寺院を臨む。
川の流れ(その2)
こうなると急な流れというより激流である。この国では,釣りは殺生のため禁止されているので,この川でのラフティングを観光資源にしてはどうかと思う。
 
ロイヤル ティンプー ゴルフクラブ(Royal Thimphu Golf Club)
ブータンに1か所だけゴルフ場がある。それが,ここロイヤルティンプーゴルフクラブ(9Hのみ)。現在の国王も皇太子時代によくプレーしたとされるが,国王になるとプレーの機会も減ったとか・・・。
ブータンのゴルフ事情
貴重な平たんな土地を使ってのゴルフ。ほぼ貸し切りのプレー。標高が高いためボールがよく飛ぶとされるが,私はそうは感じなかった。グリーンは芝目がきつかった。写真奥にブータンの政治,宗教の中心であるタシチョ・ゾンを望む。
 
チャンリミタン・スタジアム(Changlimithang Stadium)
FIFAランク最下位を決める国際Aマッチ,2002年のブータン対モントセラト戦を描写した映画「アザー・ファイナル」の舞台となったスタジアム。ティンプー市内の中央部にある。収容人数は25,000人。
ブータンのサッカー事情
ブータンではA-ディヴィジョンと称して6つのチームが首都ティンプーに存在し,何れのチームもこのスタジアムを本拠地として戦っている。しかるに,ここでは頻繁にゲームがある。この日はどことどこの対戦であったか未だにわからない。
 
ブータンの主食
ご飯を主食とするが,この赤米が出される。タイ米のようにパサパサ感も無く,色と粒の大きさ以外は日本のご飯に近い。私は全く違和感なく頂きました。写真は機内食より。
ブータンの食事事情
ブータン料理は世界一辛いと言われるが,滞在中は辛いものは1品か2品のみで,主食の赤米と共においしく頂きました。写真左上の1品(赤米の上)が唐辛子とチーズを使った名物料理の「エマダツィ」。
 
ブータンのマツタケ
ブータンの山には赤松が多く家も松の木材で建てられている。しかるに,マツタケも豊富に取れる。秋を迎える8月中旬から取れ初め,品質の良いものは日本にも輸出される。この日は8月中旬。野菜市場には初物のマツタケが出ていた。このおじさんいい顔している。無茶苦茶儲かってるわ!

最後までご覧いただきありがとうございました。

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